BtoB ECとは?BtoCとの違いや受注増加のためのコツを解説

2023.09.28

BtoB ECとは?BtoCとの違いや受注増加のためのコツを解説

現在、企業同士が製品やサービスを取引するための効果的な方法として、「BtoB EC」の活用が加速度的に広まっています。ECサイトと聞くと、楽天やAmazonのような企業が消費者と取引するものを想像しがちですが、企業同士で取引をするBtoB ECBtoC EC15倍以上の市場規模がある巨大な市場となっています。

本記事では、BtoC ECと比較しながらBtoB ECを説明した後、BtoB ECのメリット・デメリットや 成功事例、受注増加のためのコツを解説していきます。

BtoB ECとは?

BtoB ECとは?早速、BtoB ECとは何かの説明に入っていきたいと思います。BtoB ECとは、一言で言えば「インターネットを介して行われる企業間の電子商取引」のことですが、これだけでは分かりにくいので、その分類や市場規模、なぜここまで加速度的に発展しているのかを含め説明していきたいと思います。

BtoB ECの概要

BtoB ECは、企業間で行われる電子商取引の形態で、これらは大きく「クローズド型」と「スモール型」に分けられます。それぞれ簡単に説明します。

「クローズド型BtoB EC
クローズド型BtoB ECは、既に取引のある特定の企業向けに専用のECサイトを構築し、その中で取引を行う形態です。この形態のBtoB ECサイトは、会員のみが、専用のIDやパスワードを用いてログインして利用するものになります。そのため、現在取引の無い一般の顧客はアクセスすることができず、 WEB上で検索しても表示されないECサイトになっています。
クローズド型BtoB ECは、企業ごとに、商品の価格を設定したり、表示する商品をカスタマイズしたりすることが可能です。取引額によって割引率を変えるというBtoBの商習慣をECサイト上でも実現できるシステムになっています。

「スモール型BtoB EC
スモール型BtoB ECは、インターネット上で広く利用可能なE Cサイトで、多くの小規模および中規模程度の企業間で取引が行われる形態です。クローズド型BtoB ECとは違い、検索して表示されるもので、現在取引のない企業同士でも取引を行うことができます。
スモール型BtoB ECには、BtoB向けの工具やネジなどの消耗品、事務用品を販売している「アスクル」や「モノタロウ」が該当します。

BtoB ECの最新動向

ここからはBtoB ECの最新の動向を解説していきます。現在、BtoB ECの市場は拡大を続けており、今後もその流れは続くと見込まれています。なぜここまでBtoB ECの市場が広がり続けているのか、その背景を説明し、BtoB ECを導入しようと考えていらっしゃる方のヒントとなればと思います。

市場規模の推移
経済産業省の「電子商取引に関する市場調査」によると、2022年の日本国内のBtoB ECの市場規模は420.2兆円(前年372.7兆円、前々年334.9兆円、前年比12.8%増)、BtoC EC22.7兆円(前年20.7兆円、前々年19.3兆円、前年比9.91%増)に拡大しています。市場規模の推移BtoB ECに関して、前年比12.8%増となっており、急速に拡大しているのがみて取れるかと思います。なぜここまでBtoB ECの市場は拡大し続けているのでしょうか。次の章で、その背景にある要因を解説します。
(出典:経済産業省

BtoB EC発展の背景

BtoB EC発展の背景にはさまざまな要因が存在しますがその中でも、主要なものを3つピックアップして解説していきます。

【クラウドサービスの登場】BtoBの受発注業務を安価にEC化できるようになった
まず一つ目は、クラウドサービスの登場です。BtoB ECを構築するクラウドサービスが登場したことにより、企業は受発注業務を効果的にEC化することができるようになりました。
クラウドベースのECプラットフォームは、低コストで利用可能であり、導入や運用にかかるコストを1から構築するオンプレミス型よりも大幅に削減できます。その影響で、大企業だけでなく、中小企業もBtoB ECへ参入可能となり、急速に発展していきました。

ITリテラシーの向上】受注側と発注側の双方がインターネット上でのやり取りに慣れてきている
次は、ITリテラシーの向上です。近年、リモートワークの普及や教育プログラムの充実により、受注側、発注側双方のITリテラシーが向上しました。その影響で、既存のアナログな受発注方法からBtoB ECへの移行がスムーズに進んだため、ここまでの拡大につながっていると考えられます。
BtoB ECの導入は、時間的金銭的コストの観点からは大きなメリットがありますが、実際にそのシステムを使いこなせなければ意味がありません。実際に利用する人のITリテラシーの向上や、システムに慣れていない人でも感覚的に操作できるクラウドサービスの充実によりBtoBシステムの利用は拡大しています。

【デジタル化の推進】政府のIT導入補助金をはじめとしたDX推進施策
次は、デジタル化の推進です。政府は、デジタルトランスフォーメーション(DX)を国家戦略と位置付け、各産業においてデジタル技術の活用を奨励しています。
政府は、中小企業・小規模事業者の生産性向上を目的としたIT導入補助金制度も運用しています。大企業のみならず中小企業・小規模事業者でも、DX推進の機運が高まっている、かつ補助金制度も存在するためBtoB ECの導入が加速していると考えられます。

BtoB ECBtoC ECの違い

BtoB ECとBtoC ECの違いここからはBtoB ECBtoC ECの違いについて解説していきます。消費者を顧客とするBtoC ECと、企業を顧客とするBtoB ECでは、その取引の仕方が大きく異なる部分が多く存在します。

この章では、BtoB ECBtoC ECの違いについて「対象顧客」「製品やサービスの特性」「購買プロセス」「価格設定」「取引規模」の5つの観点から見ていきたいと思います。

対象顧客

BtoB EC
BtoB ECは、企業間での取引を対象としています。企業間の取引となるためパートナーシップや契約に基づいた長期的な取引が行われます。

BtoC EC
BtoB ECは、個人の消費者が製品やサービスを購入します。個別の取引が特徴で、購入者は通常、自分のニーズに合わせて製品・サービスを選択します。

製品やサービスの特性

BtoB EC
BtoB ECでは、多くの場合、専門的な製品やサービスが取引されます。これらの製品は個社ごとにカスタマイズされることも多く、顧客の特定の要件を満たすための調整作業が伴うこともあります。通常、一度に大量の購入がなされることが多いです。

BtoC EC
BtoB ECでは、消費者向けの一般的な製品やサービスが提供されます。これらの製品は通常、大量生産され、それを一般消費者が購入することになります。

購買プロセス

BtoB EC
BtoB ECの購入プロセスは、通常、複雑で時間のかかるものが多いです。製品やサービスの選択から最終的な取引の完了まで、決定権を持つ複数のステークホルダーが関与することも多く、長期的に信頼性と安定した取引が重要になります。

BtoC EC
BtoC ECの購入プロセスは、通常簡潔ですばやく行われることが多いです。一般消費者は、製品をWEBサイトやアプリで選択し、カートにいれ、すぐに支払いを行います。購入決定はその個人によって行われ、通常は長期の契約や交渉は行われません。

価格設定

BtoB EC
BtoB ECでは、価格設定は、それぞれの取引によって異なります。購入する数量や納期に応じて、価格設定を行うため同じ製品・サービスであっても価格が変動することがあります。そのため取引先ごとにサイトを作成し、受発注業務を行うことが多いです。

BtoC EC
BtoC ECでは、価格は固定されており、個別の消費者に対して交渉を行うことは通常ありません。BtoB ECとは違い、割引やプロモーションは、広告やセールのイベントを通して行われ、価格の透明性が高く消費者は価格比較を簡単に行うことができます。

取引規模

BtoB EC
BtoB ECでは、大規模で長期的な取引が行われることが一般的です。また、長期的に関係を持ちリピートで購入してもらうことが重要となります。

BtoC EC
BtoC ECでは、取引規模は小規模で、個々の取引金額も少額であることが多いです。

BtoB ECの受注増加のためのコツ

BtoB ECの受注増加のためのコツここからは実際にBtoB ECを導入し受注を増加させるためのコツを紹介していきます。ただ単にBtoB ECを導入するだけでは、導入による効果を最大化させることはできません。導入を機に、現在行なっているマーケティングやサプライチェーンの見直しを行い、受注を増加させていきましょう。

以下では、「デジタルを駆使したリードの商談化」「受発注フローチャートの作成」「システム利用方法の教育プログラム」の3つのコツを紹介しています。

デジタルを駆使したリードの商談化

まず一つ目が、デジタルでのリードの商談化です。リード獲得の方法は、以下のような方法が挙げられます。

WEB,SNS広告運用
・ホワイトペーパー
・コンテンツマーケティング
DM配信
・ウェビナー

もちろん現在デジタル領域でのリード獲得を行なっていらっしゃらない企業様は少ないと思いますが、安価にどれだけのリードを獲得できたかではなくどれだけの商談を組めたかを追う運用にすることをお勧めします。商談化につながった集客方法はどれなのかを分析し、現在のマーケティングを見直すことが重要です。そのとき1件のリード獲得に多くのお金がかかっていたとしても、実際に受注される確度が高ければ問題ありません。

受発注フローチャートの作成

現在の取引における流れを一度フローチャートに起こしてみることをお勧めします。そうすることで、無駄な業務が見えてきたり、ベテランの社員の方しか対応できない属人化してしまっている業務が見えてきて、変えるべきところはどこなのかを明確化することができます。

一般的な受発注業務に関しては、以下にまとめられています。
https://juchuhack.com/article/61

この記事などを参考にしながら、自社の受発注のフローチャートを作成し、誰がどこを担当しているのか、責任の所在を明確化し、BtoB EC導入でどのように業務が変わるのか考えていきましょう。

システム利用方法の教育プログラム

BtoB ECの導入は、コスト面では、非常に大きなメリットのある生産性向上施策のひとつです。とはいえ、導入したシステムを誰も活用できなければ、導入効果は半減してしまいます。そのため①ITシステムに慣れていない人でも感覚的に操作できるBtoB ECシステムの導入や、②BtoB ECの操作マニュアルの作成をすることをお勧めします。

マニュアル作成の際は、読み手が即実行できる内容になるよう心がけ、できるだけ実際の操作画面を出しながら作成すると分かりやすい内容になるかと思います。

BtoB ECのメリット・デメリット

BtoB ECの導入には多くのメリットがあります。導入しようか検討されている事業者様にとって、導入するかどうかを決定する助けになればと思います。

BtoB ECを導入するメリット

BtoB ECを導入するメリットは大きく以下の3つです。

コスト削減
まず初めに、コスト削減が挙げられます。従来の紙ベースの注文書や請求書の作成・管理が全てオンライン化され、紙や印刷コスト、手作業にかかる人件費が大幅に削減されます。さらに、BtoB ECの活用により、過剰な在庫や欠品を減少させる在庫管理の面でも改善が可能です。
これらのコスト削減により、作業的な業務からより重要な業務に集中することができるようになります。コスト削減だけでなく、このようなその先に広がるメリットは多く存在します。

販路拡大による新規顧客の獲得
BtoB ECの導入により、これまでアクセスできなかった顧客にアプローチできるようになります。これまでのマーケティング手法では出会えなかったお客様と接点を持ち、新たな顧客獲得が期待できます。

受発注業務の簡易化による顧客満足度の向上
従来のアナログな受発注業務からBtoB ECに切り替えることで、入力作業のミスなどのヒューマンエラーを減少させ、お客様の業務改善にもつながります。そのため、顧客との関係値を深め長期的な取引につながる効果も十分に見込めます。また、在庫情報や出荷ステータスなどのリアルタイムな情報の可視性を確保することでの顧客満足度の向上も考えられます。

BtoB ECを導入するデメリット

BtoB ECのメリット・デメリットBtoB ECを導入するメリットは大きく以下の2つです。

導入コスト
BtoB ECの導入にはどうしても初期コストがかかってきます。新しいオンラインプラットフォームやソフトウェアの開発・導入・セキュリティ対策の実施、スタッフのトレーニングなどは、中小企業にとっては負担となってしまうことがあります。とはいえクラウド型のサービスを使えば、月額数万円からサービスを利用できる場合もあるので、かけられる費用に合わせたシステムを選択できる環境は整っているといえます。

既存顧客へのフォロー
既存の顧客に新たなBtoB ECシステムへの対応を求めることは、取引においてひとつの障壁になってしまうこともあります。根気強くサポートをしたり、分かりやすいマニュアルを作成したりすることでの対応も可能ですが、そもそも、ITの知識が乏しい人でも感覚的に操作できるシステムもあるので、そのようなBtoB ECシステムの導入の検討をしてみてもいいかもしれません。

BtoB ECの成功事例

BtoB ECを導入してビジネスが好転した実際の事例をご紹介いたします。

福助株式会社の事例

福助株式会社の事例福助株式会社様は、靴下やストッキング、肌着のメーカーです。2016年まで福助では、1000を超えるお得意先に対し年に2回「福助総合カタログ」を作成して送付していました。得意先はそれを見て、電話で在庫の有無を確認した後、FAXで注文するという2度手間の注文方法をとっていました。

2016年、福助株式会社はBtoB ECを導入し、1日中手入力していた業務を2日に1回の数分の作業に短縮することができ、得意先も電話で在庫の有無を確認することなくBtoB ECサイト上で在庫を確認し、そのままサイト上で注文することができるようになりました。

とはいえ、お得意先は高齢化していることも多く、丁寧なマニュアルを作り、遠方であろうと持参して直接説明に回ったからこそ、BtoB EC化を実現できたといいます。
導入には泥臭いコストが発生してしまうこともありますが、一回導入してしまえばそれ以降のメリットは計り知れないものがあることがお分かりいただけるかと思います。
(出典:https://ecnomikata.com/original_news/17865/)https://ecnomikata.com/original_news/17867/

タイヘイ化成株式会社の事例

タイヘイ化成株式会社様は、ビニール製品の製造・加工・印刷や、アクリル樹脂を使用した様々なグッズのOEMやグッズ制作をされている会社様になります。タイヘイ化成株式会社がBtoB ECを立ち上げたのは2018年のことで、これまで新規顧客獲得の有効な手段であった展示会での集客が落ち込んでいたことが要因でした。

BtoB ECを立ち上げ、受注をWeb経由に移行することで、新規法人との契約が加速し、これまで出会えなかった顧客との出会いを数多く実現されています。
その時々に合った集客の手法を採用することで持続的にビジネスを拡大していくことができる事例です。
(出典:https://bcart.jp/uservoice/taihei-kasei/

まとめ

本記事では、BtoB ECについて最新の動向や、BtoC ECとの違いから説明し、実際の成功事例や商談増加のためのコツをご紹介しました。BtoB EC導入を検討されていらっしゃる方の助けになっていれば幸いです。

弊社の受発注システム「受注ハック」もクラウドで受発注管理を行えるシステムです。
BtoB ECの導入に際して、課題となる操作方法の複雑さに関しても、「受注ハック」は圧倒的な使いやすさにこだわり、本当に必要な機能に絞って開発を進めてまいりました。説明書は必要なく、直感的に操作していただけると思います。

詳しくは下記よりご確認ください。
https://juchuhack.com/

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