シータグCTOが語る、日本におけるSaaS業界の課題と受注ハックの可能性

    2025.04.04

    シータグCTOが語る、日本におけるSaaS業界の課題と受注ハックの可能性

    元サイボウズの開発副本部長であり、kintoneの開発マネージャーを経験したことがある岡田が、2024年12月にシータグのCTOに就任しました。サイボウズで培った経験を活かし、シータグで企業のIT化を推進するためにどのような戦略を描いているのでしょうか。今回は、彼の考えるSaaS業界の課題と、受注ハックの可能性について詳しく伺いました。

    はじめに、経歴について教えて下さい。

    2007年に新卒でサイボウズに入社し、そこから2024年まで、ソフトウェアエンジニアや開発マネージャーとして17年間、サイボウズで勤務しました。主にサイボウズ Officeやkintoneの開発を担当していました。kintoneがリリースされたのは2011年で、私が開発に関わり始めたのは2012年からです。5年ほどエンジニアやエンジニアリーダーとしてkintoneに携わっていました。

    2014年頃からはマネジメントの道に進み、もともと働いていた東京から、地元の大阪に開発拠点を立ち上げる仕事に関わりました。そして2018年からは、製品開発担当部門である開発本部の副本部長として、開発組織全体の採用や人材マネジメント、組織マネジメントを主に担当していました。

    2024年12月にシータグに入社し、今は社内にkintoneを導入して業務効率化を図ったり、社外へのkintone研修を行ったりしています。また、kintoneと自社サービスである受注ハックの連携サービスの企画にも取り組んでいます。

    シータグに入社したきっかけは?

    きっかけは、サイボウズという大企業で学んだことを地元である大阪で還元したいと思ったことです。その思いもあり、2024年2月から副業としてシータグに業務委託で関わることにしました。サイボウズは副業がOKだったので、月に15時間くらい副業していたのですが、やらないといけないことが本当に膨大にあり、課題を一つ解決しても、更に新たな課題が生まれ、限られた時間だとなかなか難しいと感じていました。

    その一方で、40歳を過ぎて今後のキャリアについて考える機会が増え、新しいことにチャレンジしたいという思いが強くなってシータグへの転職を決意しました。

    シータグのビジョンである「企業にもっとITを」について、どのように感じていますか?

    サイボウズもITによる企業の業務効率化を目指している会社でした。私が担当していたサイボウズ Officeも、ホワイトボードや紙でやっていた業務を効率化するためのサービスだったんです。DXの第一歩としてサイボウズの製品が使われて、システムが広がっていくのを見てきました。そういうところに自分もやりがいを大きく感じていました。

    ただ、サイボウズにいると日本の会社のほとんどがDX化が進んでいるように感じるのですが、シータグで働いて、それは錯覚なのだとすぐに思いました。DX化は世の中で叫ばれていますが、実際にはほとんどの中小企業でペーパレス化は進んでおらず、非効率な業務遂行が続けられているのです。中小企業でDX化を進めたいのなら、お客様に近く密に接した上でサービスを作っていく必要があり、大企業のパッケージ製品だけでは、なかなかDX化は広がっていかないと感じました。なので、シータグが掲げる「企業にもっとITを」というミッションにすごく共感できますし、よりお客様に近い場所でプロダクト開発を行い、DXの導入に携われることに、すごく面白さを感じています。

    受注ハックのSaaSビジネスとしての印象を教えてください。

    受発注に関する知識や課題感は、正直言って自分には未知の領域だったんですけど、製品自体はすごく使いやすいと思いました。既存の製品と比べると、できることは限られているかもしれませんが、業務システムとしての使いやすさを重視している印象があります。

    例えば、ペーパーレス化が進んでいないとか、DXがまだ進んでいない企業に導入すると、効率化にすごく役立つと思います。まだ紙やFAXでやり取りしている会社には特に響くサービスだと思いますね。最初の一歩として簡単に使えて、効率化に貢献できるサービスだと感じています。

    このままSaaS型の業務効率サービスが増えてくると企業のDX化は進むのでしょうか?

    一定レベルまでは企業のDX化は進むと思います。ただ、そこから先は企業の負担のみが先行して、DX化の限界を迎えると思います。

    まず、そもそもSaaS型の業務効率サービスは、大きく分けると2種類あって、まず一つ目は、kintoneみたいに幅広く業務をカバーするものになります、Microsoftのような外資の大企業が競合になり、この領域で勝負するのは結構難しいんです。

    二つ目は、特定の業務に特化したもので、バーティカルSaaSと呼ばれています。最近は、こういった個別の業務に特化したSaaSを作るのが一般的な流れになってきています。

    ここ5年くらいで、企業がクラウドサービスを導入する数が急激に増えてきて、1社で20個くらいのSaaSを導入するのが普通になっています。ただ、こういった流れが進むと、導入SaaSが複数乱立することになり、システム間の連携が課題となり、利用ハードルが高くなっていくと考えています。その結果、企業はDX化を掲げ、SaaSを導入したものの、社内での利用率が上がらず、一向にDX化進まないという事態を招くのではないかと危惧しています。

    受注ハックもバーティカルSaaSですが、kintoneの導入で課題は解消されるのでしょうか?

    受注ハックは、受発注業務の効率化に特化していますが、見積もりや在庫管理など、受発注業務の周辺には、さまざまな業務が絡んでいます。そして、そのような周辺業務を幅広くカバーできるのがkintoneの強みです。更に言えば、バーティカルSaaSをうまくプラットフォームとして繋げることができるのが、kintoneの特徴なのです。

    受注ハックを導入したお客様は、使い続けるうちに周辺業務との連携に課題を感じることがあると思います。そんな時にkintoneを使えば、他の業務とスムーズに連携できて、受注ハックを軸に周辺業務を効率化することができるのです。受注ハックとkintoneだけで、幅広い業務の効率化が実現できるのです。

    シータグの強みや、今後の方向性についてどのように考えていますか?

    SaaSの開発会社って、結構自社サービスの成長のためにSaaS開発1本に絞っているところが多いんです。でも、シータグはちょっと違っていて、受託でC向けECサイトの開発やWebサイト制作とか、いろんな業務のバックグラウンドがあるんです。その上で、受注ハックの自社SaaS開発やkintoneの構築支援もやっているのがシータグの強みなんです。

    シータグは、Webサイトの制作や、受注ハックという受発注に関わるシステム開発、そしてkintoneによる業務効率化など、いろいろな開発業務を通して、お客様の課題にしっかり向き合ってきました。だからこそ、お客様の課題を深く理解して、トータルで価値を提供できるのです。これが、バーティカルSaaSの開発のみの会社と比べた時に、シータグの明確な強みになると思います。バーティカルSaaSを導入した後に、周辺業務で課題が出てくる企業が今後どんどん増えてくると思うので、そこにアプローチしていきたいですね。

    シータグからのメッセージ

    今回の記事では、新しく弊社CTOに就任した岡田が考える、SaaS業界の課題と受注ハックの可能性についてご紹介しました。

    関西圏や地方都市では、SaaSを使っている企業はごく一部なのが現状です。IT担当者がいない企業も多く、導入コストが高くなっています。特定の業種でバーティカルSaaSが乱立していることも課題です。こうした状況の中、受注ハックの開発だけでは「企業に、もっとITを」というシータグの理念の実現に限界を感じていました。

    そんな時に岡田と出会い、kintoneという良質なツールのシステム開発や運用サポートを提供できる環境が整いました。kintoneと受注ハックを融合すれば、さまざまな業務を横断してSaaSのメリットを享受できるようになります。これからは更に「企業に、もっとITを」という理念の実現に近づけると考えています。

    BtoB向けクラウド
    受発注サービス

    受注ハック
    banner
    今すぐ無料で始める